【結晶構造の解析】

高温処理により黒鉛に近い結晶構造となった気相成長炭素繊維(VGCF)について, 高分解能透過電子顕微鏡(TEM)と画像処理および原子間力顕微鏡(AFM)を用いて, 結晶構造の解析を行った.VGCFの炭素六角網平面(網平面)に平行な方向から観 察したTEM像に,2次元高速フーリエ変換(FFT)を施した.これにより得られた パワースペクトル像に現れる分離された各結晶面に対応するスポットより, (002)面と(100)面の関係を求め,網平面の積層構造の欠陥について解析した. また,VGCF表面の網平面に垂直な方向からAFMによる観察を行い,表面とその 下の網平面の積層状態を検討した.網平面に対するこの二つの方向の電子顕微 鏡観察から,高温処理されたVGCFは,積層した網平面が(002)面の方向へのず れ構造および回転構造の構造欠陥を含んでいることがわかり,この構造モデル を提案した.