点字フォント

SixBraille

(シスブライユ)

2020.02.17更新


SixBrailleは6点式点字のTrueTypeフォントです。 Sixは点字の故郷フランスの言葉で6を表す語 six(シスと発音)のつもりなので「シスブライユ」と読んでください。 無料かつパブリックドメインのライセンスで提供されています。


はじめに

コンピュータ用の点字のフォントはいくつかあります(例1例2例3)。 点字の中で無点部分を○で表したり−で表したりといった違いは気分や用途で 使い分けたいところですが、あるフォントは○だけ、あるフォントは−だけ、 あるフォントは空白だけ、のようになっていて、空白部分の表示を切り替えよ うとするとそもそも 完全に別のフォントを指定しなければならないですとか、 その際に点のある部分(黒丸部分)の大きさやデザイン、点間も微妙に変わって しまったりですとか、ちょっと不便を感じていました。
また、それらのフォン トを自作のソフトウェアに使いたいときなどにライセンスがバラバラだったり 不明瞭だったりして、使いたくても危なっかしくて事実上使うわけにいかない ということもありました。macOSですとApple Brailleというフォントがプリイ ンストールされていますが当然ながらWindowsでは使えません。
そこで、デザインがなんとなく統一されておりWindowsでもmacOSでもLinuxでも使えて ライセンス的にも自分の自由にできる点字フォントを作りました。 固定幅フォントとして点の位置が統一して作られており、見た目を切り替えても 点の位置がずれません(以下のmacOSのAdobe Illustrator 2019での動作例の動画を 参照)。JISを尊重してデザインされており、実際の点字の文章と違和感の少ない 出力ができます。ライセンスはパブリックドメインです。 TrueTypeフォントなのでWindowsでもmacOSでもLinuxでも使えます。


インストール方法

このwebページ下部の「ダウンロードと更新履歴」から ZIPファイルをダウンロードして解凍してください。 最初にその中に入っているREADME.txtをよくお読みください。

macOSの場合
macOSの場合でそのmacのすべてのユーザーがSixBrailleを使える ようにするためには、管理者権限のあるユーザーで /Library/Fontsフォルダにsixbraille.ttcをコピーしてください。 もしくは特定のユーザーのみがSixBrailleを使えるようにする ためにはそのユーザーでログインしたのち、~/Library/Fontsフォルダに sixbraille.ttcをコピーしてください (Finderのメニューから[移動]→[フォルダへ移動...]で出てくる入力欄に ~/Library/Fonts/ と入力して[移動]ボタンをクリックしてください)。
コピー後はZIPファイルに入っていたsixbraille.ttcは削除して構いません。 いずれの場合も、アプリケーションフォルダにある Font Bookを起動して[等幅]フォントにSixBrailleのフォントが12個あれば 正常にインストールできています。

Windowsの場合
Windowsの場合は sixbraille.ttcのアイコンを右クリックして表示されるメニューから [インストール](=インストールしたユーザーのみが SixBrailleを使える) もしくは[すべてのユーザーに対してインストール] (=そのPCを使うすべての人がSixBrailleを使える)を クリックしてください。
インストール後はZIPファイルに入っていた sixbraille.ttcは削除して構いません。 [設定]→[個人用設定]→[フォント]として出てくる画面の[使用可能なフォント] という入力欄にSixBrailleと入力したときにSixBrailleのフォントが 12個あれば正常にインストールできています。


Linuxの場合
Ubuntu 19.04では、管理者権限のあるユーザーでターミナルから

# mv sixbraille.ttc /usr/share/fonts/
# fc-cache -fv
# fc-list | grep -i sixbraille
としてください。最後のコマンドで出力されるフォント一覧に sixbrailleがあるか確認してください。これですべてのユーザーが SixBrailleを使えるようになります。 特定のユーザーのみが使う場合はそのユーザーでログインしたのちターミナルから

$ mv sixbraille.ttc ~/.local/share/fonts/
$ fc-cache -fv
$ fc-list | grep -i sixbraille
としてください。最初のコマンドでエラーが出る場合は~/.local/share/の下に fontsディレクトリがあるか確認し、なければ作成してください。 最後のコマンドで出力されるフォント一覧に sixbrailleがあるか確認してください。


Webフォント版の使い方

SixBrailleはパソコンにインストールして使う形のTrueTypeフォント ばかりでなく、Google ChromeやMicrosoft Edgeなどのwebブラウザで 使うためのwebフォント(WOFF2)形式のものも提供されています。 Webフォント版のSixBrailleを使ってあなたのwebページ(ホームページ)を 作成すれば、そのページを閲覧する人のパソコンにSixBrailleがインストールされて いなくても正確に点字を表示することができます。
Webフォント版のSixBrailleは2020年2月版以降のSixBrailleの 配布物に含まれています。使い方など詳しくはこちらをご覧ください。


含まれる文字

UnicodeではU+2800〜U+28FFの256文字分(8点点字すべて)が点字の割り当てられた領域ですが、 SixBrailleではU+2800〜U+283Fの64文字のみを収録しています。 8点式に対応する予定は今のところありません。 7の点と8の点の部分は空白になっています。
また、国内で使われていることが多いと思われる社会福祉法人日本ライトハウス様の 墨点字フォントは ひらがななどをそのまま点字に置き換えることができます。SixBrailleは UnicodeのU+2800〜U+283Fだけでなく、ライトハウス墨点字が収録している 文字にも点字の字形を割り振っており互換性があります。 具体的に収録されている文字はこちらのPDFをご覧ください。


デザイン

使いやすい固定幅フォントです。1の点と2の点の間隔(a)、2の点と3の点の間隔(a)、 1の点と4の点の間隔(b)はJISの仕様に基づいた比率になっています。 具体的には、SixBrailleではJIS T0923:2009における 点字の仕様でそれぞれに認められている値域の中央値を採用し、 a=2.35としたときb=2.25になるようにデザインされています。 これに従うと、ある文字の1の点と1つ右隣の文字の1の点の間pは5.7になりますが、 こちらは(いろいろと現物の点字と比べた結果)JIS T9253:2004(UV樹脂点字規格) による6.1を採用しました。
同じく、JIS T0923:2009に従うと、ある文字の1の点と 1つ下の行の文字の1の点の間pは13.0になりますが、 フォント作りの制約からSixBrailleでは10.0になっています。
点の直径はJIS T0923:2009では1.3~1.7となっているので中央値である 1.5を採用しています。
ある点字プリンタの出力とSixBrailleの点を重ねるとこんな感じになります。 物理的な点の場所とSixBrailleの点の場所がほぼピッタリと重なっていることが おわかりになるかと思います。


キングジム社製点字テプラSR6700Dの出力とSixBrailleの点を重ねるとこんな感じになります。 こちらもほぼピッタリです。

当然、現実に我々の身の回りに存在する点字はサイズにばらつきがあり、 ここまでピッタリ重なることは少ないかもしれませんが、フォント自体が JISをあるていど考慮してデザインされていることから、SixBrailleで表示した 点字の文章は比較的違和感が少なく感じられることでしょう。
我が国における点字の規格で最新のものはJIS T0921:2017となり、JIS T0923:2009とは 微妙にサイズが異なっています(T0921:2017の方はISO 17049:2013との整合性を 優先してT0923:2009よりは微妙に大型化している)。 今後、T0921にあわせた点字が普及してくることとあわせて SixBrailleのデザインもT0921側に寄せていく必要があるかもしれません。
実際に印刷されている点字は点字プリンタの特性によりサイズの ばらつきがあります。SixBrailleの配布物のZIPファイルの中に sizetest.docxというファイルが含まれています。いくつかの サイズでSixBrailleによる点字が入力されていますので、 OHPシートなどの透明フィルムに印刷することでサイズや位置を合わせる 目的に使うことができます。


フォントの名前

Microsoft Wordなどではフォント名の長さに制限があるようで、フォント名が 長すぎるとフォント自体が使えない(メニューには出てきて選べるが正しいグリフで 表示されない)ようですので、 「SixBraille Plain」→「SixBraille P」のようにフォント全体を略称で 登録するようにしています。末尾にFがつくものは枠つき(Framed)です。 Adobe Illustratorでは長い名前で表示されます。

フォント名長い名前無点部分
SixBraille PSixBraille Plain空白なし
SixBraille WDSixBraille White Dot黒丸と同じサイズの白丸なし
SixBraille SWDSixBraille Small White Dot小さめの白丸なし
SixBraille SBDSixBraille Small Black Dot小さめの黒丸なし
SixBraille HLSixBraille Horizontal Line黒丸と同じ幅の直線なし
SixBraille SLSixBraille Short Line短めの直線なし
SixBraille PFSixBraille Plain Framed空白あり
SixBraille WDFSixBraille White Dot Framed黒丸と同じサイズの白丸あり
SixBraille SWDFSixBraille Small White Dot Framed小さめの白丸あり
SixBraille SBDFSixBraille Small Black Dot Framed小さめの黒丸あり
SixBraille HLFSixBraille Horizontal Line Framed黒丸と同じ幅の直線あり
SixBraille SLFSixBraille Short Line Framed短めの直線あり


ライセンス

SixBrailleはパブリックドメインです。 すなわち、商用・非商用を問わず、 どのように使っていただいても無料かつ無保証です。 SixBrailleを使った結果、何が起きても作者は一切関知しません。 問題の報告やリクエストは受けとりますが対応するかしないかは作者が決めます。 発見された問題に対処するため予告なくフォント形状などが修正される ことがあります。


ダウンロードと更新履歴

点字フォントは以下のsixbrailleXXXX.zipのように 書かれている部分をクリックしてダウンロード・解凍してください。 ZIPファイルにはいくつかのファイルが含まれています。 その中のREADME.txtを必ずお読みください。 omakeXXXX.zipはおまけです(通常は必要ありません)。 12種類のフォントファイルを束ねて1つのTrueType Collectionファイル(*.ttc)に する前の個別のTrueType(*.ttf)ファイルが入っています。また、すべてのグリフの SVGファイルが入っています。

公開日ファイル説明
2020.02.17 sixbraille202002a.zip 最新版(通常はこれをダウンロードしてください)
Webフォント版を同梱しました。
2019.12.07 sixbraille201912a.zip ライトハウス墨点字フォントとの互換領域を追加しました。
2019.12.07 omake201912a.zip 2019年12月版のおまけ(フォント1つごとのTTFファイルとSVGファイル)
2019.08.31 sixbraille201908a.zip 初版
2019.08.31 omake201908a.zip 初版のおまけ(フォント1つごとのTTFファイルとSVGファイル)


連絡先

長野高専 電子情報工学科
伊藤祥一
Web: http://teacher.nagano-nct.ac.jp/ito/
e-mail: shoichi@nagano-nct.ac.jp



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